- 信号待ちでニュートラルに入れるのはアリ?
- そもそも信号待ちでニュートラルに入れる理由や意味を知りたい!
- 信号待ちでニュートラルに入れると燃費が良くなるのは本当?
「信号待ちではニュートラルに入れた方が故障のリスクを減らすことができる」
「信号待ちはニュートラルの方が燃費が良くなる」
信号待ちでシフトレバーをニュートラルに入れた方が良いという上記のような意見を聞いたことはないでしょうか?
オートマティック車(以下AT車と表記)で停車する場合、シフトレバーは”D”(ドライブ)のままでブレーキペダルを踏むのが一般的です。
その一方で信号待ちなどの停車中はニュートラルにした方がメリットがあるという意見を主張する人も居て、ブレーキペダルを踏み続けるストレスから開放されたくて実践しているドライバーも少なくありません。
この記事では「信号待ちでニュートラルに入れた方が良い説」の真偽について、納得できる理由と共に解説します。
信号待ちでニュートラルが良い説の真相
結論から先にお伝えすると、【AT車の場合、信号待ちでニュートラルに入れるのは”避けるべき”】です。
なぜAT車の停車ではシフトレバーをニュートラルに入れない方が良いのか、MT車の場合ならどうなるのかなどくわしい理由について解説していきます。
マニュアル車とオートマティック車で真偽が異なる点に注意!
前項でお伝えした結論では「AT車の場合」と言っている通り、マニュアル車(以下MT車と表記)なら信号待ちでシフトレバーをニュートラルにしても問題ありません。
MT車がニュートラルで停車すると以下のようなメリットがあります。
- ブレーキとクラッチの両方を踏む必要が無くなる
- クラッチや周辺パーツの摩耗を減らし寿命を延ばす
ただしMT車でも”信号待ち”で停車する場合は、信号が青に変わったとき迅速に発信できるように1速ギアで待つ方が良いと言えるでしょう。
渋滞に巻き込まれたときなど、MT車で長時間の停車が見込まれるケースではシフトレバーをニュートラルにした方が車や足への負担を減らすことができます。
AT車が信号待ちでニュートラルにするのがNGな理由!
MT車の場合はニュートラルで信号待ちをしても大きな問題はありませんが、AT車の場合は明確な”避けるべき理由”がいくつかあります。
信号待ちで”N”にするとAT車は「故障リスクが増える」
AT車が信号待ちでニュートラルにしない方が良い理由の1つ目として、シフトチェンジの頻度が高くなることによる故障リスクの増大があります。
AT車は”D”にすればシフトチェンジ不要で走行することができるため、信号待ちをするたびにシフトを切り替えることを想定して製造されていません。
少しくらいシフトレバーを動かす回数が増えても問題はありませんが、頻度が増えすぎればシフトレバーの故障に繋がる恐れがあります。
ブレーキペダルから足を離すことは危険な行為
AT車の場合、信号待ちでニュートラルにギアを入れる=ブレーキペダルを踏まないに直結します。
エンジンの動力が伝わらないニュートラルだから大丈夫・・と思ってしまいがちですが、道路に傾斜があると勝手に車が動き出してしまう恐れがあり大変危険です。
“空ぶかし”からの急発進に繋がることも
AT車でニュートラルにした状態で信号待ちをすると、発車前にアクセルを踏んでしまい慌てて”D”にシフトチェンジをして急発進となる恐れがあります。
想定していたよりも早く信号が変わったり、緊急車両や歩行者・自転車などの接近など、不測の事態で速やかな発車を迫られるシーンは十分考えられます。
このときニュートラルにしていることを忘れて”空ぶかし”をして、慌ててドライブに入れると非常に危険です。
アイドリングストップ機能が無効になってしまう
信号待ちで停車するときにエンジンを停止させて燃費を向上させるアイドリングストップ機能ですが、停車中にシフトレバーを操作すると無効になってしまいます。
アイドリングストップ車の場合は、信号待ちでニュートラルにすることが逆に燃費を悪くすることに繋がる恐れがあるといえます。
以上のような理由から、AT車の場合は信号待ちでシフトレバーをニュートラルに入れて停車するのは避けた方が良いと言えるのです。
AT車の信号待ちでニュートラル以外の停車方法は?
AT車では信号待ちでニュートラルは避けた方が良いことはお伝えしましたが、Dにしたままブレーキぺダルを踏み続けるのが辛く感じることがあるのも確かです。
ここからは、AT車の信号待ちで足の負担を軽減する方法について解説します。
信号待ちの基本は”D”+フットブレーキ
AT車で信号待ちをする場合は、シフトレバーはDのままブレーキペダルを踏んで停車する方法が最も安全です。
- すぐに車を発進できる状態で停車できる
- ブレーキランプが点灯する(後続車に停車や発車の意志が伝わる)
- クリープ現象を利用した徐行が可能
停車と発進がスムーズに行えて、後続車にもドライバーの意図が伝わるなど安全面・走行面で考えるなら基本的にはブレーキペダルを踏んで信号待ちをするのが最善だといえるでしょう。
どうしても信号待ちで足への負担を減らしたい場合は、後述する「オートブレーキホールド機能」が付いた車を選ぶのがおすすめです。
オートブレーキホールド機能ならAT車の信号待ちが楽になる!
最近の車には信号待ちや渋滞など、ドライバーの運転ストレスを軽減してくれるオートブレーキホールド機能が付いています。
ABHやANBHなどの略称で表記されることもあり、名前の通り「ブレーキペダルから足を離してもブレーキングを保持する機能」です。
EPB(電動パーキングブレーキ)システムを採用している車種ならスイッチが最初から付いていますが、後付けするという選択肢もあります。
オートブレーキホールド機能が付いていれば、信号待ちが楽になるのは確かですが、あくまでも補助的な役割なので傾斜のある坂道などではしっかりとブレーキペダルを踏む必要がある点には注意が必要です。
国土交通省でも自動車の新しい機能としてブレーキホールドの正しい使用方法や注意点について紹介しています。
運転を快適にしてくれるオートブレーキホールドですが、過度の信頼をせず状況に応じた適切なブレーキ操作で安全運転を心がけましょう。
フットブレーキの代わりにサイドブレーキを引く方法は?
信号待ちでブレーキを踏み続けるのが嫌だからという理由で、シフトレバーをDにしたままサイドブレーキを引くドライバーは意外に多いのですが絶対にやめましょう。
サイドブレーキを引いてブレーキペダルから足を離すデメリット一覧
- サイドの引きが甘いと車が動いてしまう
- トランスミッションに負荷がかかる
- サイドブレーキを引いたまま発進する恐れがある
- アクセルとブレーキの踏み間違いの恐れがある
フットブレーキ代わりにサイドブレーキを引いて停車する方法は、簡単で楽だと感じやすいですが事故や故障などのトラブルに繋がります。
燃費が良くなるウワサの真相などその他の疑問について
AT車で信号待ちをするとき、ニュートラルに入れるのは間違いです。
最後に、信号待ちでニュートラルにした方が良いというウワサの真偽など、関連する疑問を一問一答形式でまとめて解説します。
- 信号待ちで停車中はDよりNにした方が燃費はよくなるはず!
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アイドリングストップ車なら、Nにした方が燃費は悪くなることはすでにお伝えしましたが、それ以外の車でも燃費に関して大きな変化は望めないと言えるでしょう。
理由として、シフトレバーがDの状態でもNの状態でも【エンジン自体は等しく駆動している】からです。
エンジンを一時的に止めるアイドリングストップとは異なり、動力をタイヤに伝えるか伝えないかの差しかないため、燃料消費率はほとんど変わらないと言えます。
- パーキングに入れて停車するのはアリ?
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信号で停車するときに、ニュートラルよりも安心できるパーキングなら大丈夫だと思っている人はいないでしょうか?
結論から言えば【信号待ちの停車時にパーキングをブレーキ代わりにするのもNG】です。
確かにパーキングは車を動かす歯車(ギア)を固定します。
しかし、固定といっても歯車に爪状のロックをかけるだけなので、坂道のような傾斜では車の重みに耐えきれず折れてしまうことも。
爪状のロックが折れてしまえばニュートラルと同じ状態になるので、パーキングにいれてノーブレーキという停車方法はやめるべきです。
AT車なら信号待ちでニュートラルはNG!しっかり停車して安全な走行を
MT車なら信号待ちでニュートラルにする停車方法もアリですが、AT車でも同じように考えてしまうのは危険です。
まことしやかにニュートラルが良いと言われる背景として、MT車とAT車を混同した誤った情報が広がってしまった可能性が考えられます。
- AT車は信号待ちでニュートラルは×
- オートブレーキホールド機能なら足を離すことも可能
- AT車が停車でニュートラルにするメリットは無い!
あくまでもAT車で信号待ちをするときは「D+ブレーキ」が基本の停車方法となるのでしっかり停まって安全に走行しましょう。