- ロータリーと環状交差点って同じに見えるけど、どんな違いがある?
- ロータリーと環状交差点のわかりやすい見分け方が知りたい!
- ロータリーや環状交差点ではウインカーの出し方も違う?
ロータリーと環状交差点はどちらも中央が丸い道路で、時計回りという通行の仕方も同じなので違いが分かりにくい道路です。
実は広い意味でいえば環状交差点もロータリーに含まれるのですが、言葉の意味を知らないまま環状交差点と「ロータリー」が同じものだと思い込んでしまうと法令違反になりかねません。
この記事では、ロータリーと環状交差点の役割や通行方法について解説していきます。それぞれどんな道路なのかを知れば共通点や違いについて理解できるようになるのではないでしょうか。
ロータリーと環状交差点は言葉の意味に違いがある
ロータリーと環状交差点には周回する道路に合流するという共通点があります。見た目も似ているので混同されることもありますが、ロータリー=環状交差点ではありません。
ロータリーとは道路の形状のこと
ロータリーというのは道路の形のことで、法令で「ロータリー」と呼ばれる場所の通行方法が定められているわけではありません。
ロータリーと呼ばれる道路は、中央部分に通行できない部分を作り、その周囲を円形に通行できるようにしたドーナツ状の道路です。車両は時計回りの一方通行で進行します。
小さな駅などで出入り口が一か所しかなく、乗り降りのために円形の道路が作られているものもロータリーと呼びますし、交差点のように複数の方向から車両が侵入できるようになっている円形の道路もロータリーと呼びます。
円形の道路がある場所はすべてロータリーと呼ばれるため、通行方法は場所や合流する道路の形状によって違いがあります。
ロータリーでは円の部分を周回している車が優先か、侵入してくる車が優先かという疑問を持つ人が多いのですが、すべてのロータリーが同じルールではないので、どちらが優先か断言することはできません。
ロータリー内に合流する道路が直進の場合はロータリーを周回する車ではなく直進車を優先し、合流するために左折する場合はロータリー内を走っている車が優先されるのが一般的です。
この場合の優先車両はT字路をイメージしてもらえばわかりやすいと思います。
車の乗り降りに使われるような出入り口が1か所しかないロータリーでは、ロータリー内で乗降をすませた車はロータリーから出て行くというのが通常の流れです。
そのため、左折でロータリーに入る車を優先し、通常とは違う動きをする車(ロータリーをもう1周する車)が道を譲る形になります。
ロータリーでは、円形の道路内に横断歩道がある場合や斜めに合流する場合もあり、すべての道路で同じ道路状況ではありません。
そのため、一時停止や信号を設置している道路や矢印で進める方向を表示している道路もあります。ロータリーでの優先車両や通行のルールは、道路の状況によって違うので思い込みで通行せず周囲の車の流れや標識を見て運転してください。
環状交差点は道路交通法で定められた交差点
環状交差点はその字の通り「環状(ロータリーと同じドーナツ状のこと)」の「交差点」で、平成26年9月1日に施行された「道路交通法の一部を改正する法律」で通行方法が定められました。
それまでは、ドーナツ状の交差点では一時停止や信号機などで誘導を行っていましたが、道路交通法の改正により一時停止標識や信号を撤去した「環状交差点」として整備されたのです。
現在は普通のロータリーでしかない場所も、将来的には環状交差点として整備される可能性があります。
円形をした道路が「ロータリー」なので、環状交差点を「ロータリー」と呼ぶのも本来は間違いではありませんが、同じ呼び方をすると従来のロータリーを混同しやすくなるため、現在は環状交差点以外を「ロータリー」と呼んでいる状態です。
環状交差点を通行する場合は、円形の道路を通行している車が優先になります。
環状交差点では、合流する車は環状の道路に侵入する前にできるだけ道路の左端に寄っておき、交差点内を走っている車の邪魔をしないように徐行しながら侵入してください。
ロータリーと環状交差点は標識にも違いがある
環状交差点とロータリーの見分け方でわかりやすいのは道路標識です。環状交差点は「規制標識」で、ロータリーの標識は「警戒標識」なので、標識の種類を覚えておくと迷わず見分けることができるでしょう。
環状交差点の標識は【規制標識】
環状交差点の標識は道路規制されていることを示す「規制標識」です。標識は丸い形をしており、青地に白い矢印が書かれています。
規制標識というのは「禁止」「規制」「制限」など道路を通行する上で「行わなければならない」ことや「行ってはいけない」ことを示している標識です。
「指定方向外 進行禁止」や「追い越し禁止」などの標識で、標識に書かれた内容にしたがって通行しなければなりません。環状交差点の標識とはデザインが違いますが、最高速度を表す標識や「とまれ」も規制標識になります。
ロータリーの標識は【警戒標識】
ロータリーの標識は「警戒標識」で、道路上の危険などを運転者に知らせるための標識です。黄色い四角い(ひし形)標識に黒い矢印が書かれています。
先の道路状況がわからない見通しの悪い場所などにある「落石のおそれあり」や「踏切あり」も警戒標識です。
ロータリーの標識は「この先にロータリーがあります」という注意をうながす標識です。そのため、見通しのいい道路では設置されていないこともあり、必ずロータリーのそばに設置されているわけではありません。
ロータリーには定められた通行方法がないため、ロータリーの入り口には一時停止や信号があったり、道路に「優先」と書かれていたりする場合もあるので、注意しながら進んでください。
環状交差点では合流時のウインカーが不要
円形の道路に合流する場合のウインカーについては、ロータリーと環状交差点で違いがあるので注意してください。
ロータリーではドーナツ状の道路に合流する際にウインカーが必要ですが、環状交差点では必要ありません。
環状交差点で環状(円形)の道路に入る場合には、前もって左側によっておき交差点内の車の進行をさまたげないように合流し、左折のウインカーは不要です。
環状(ドーナツ状)の道路から出る場合には、環状交差点もロータリーも左折のウインカーが必要です。ウインカーを出すタイミングは、自分が出る道路より1つ手前の道路を通過したときになります。
早すぎても遅すぎても周囲の車に誤解を与えてしまうので、タイミングを間違えないようにしましょう。
ロータリーと環状交差点の違いに関するQ&A
- 環状交差点とロータリーのメリットは何ですか?2つの違いには何か意味がありますか?
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ロータリーも環状交差点も一方通行で円形の道路なので、直線道路の交差点と比べて減速が必要です。そのため、車両のスピードが落ちて事故が起こりにくいというメリットがあります。
ロータリーと環状交差点の大きな違いは、環状交差点では通行方法が定められているということです。通行方法が場所によって違うロータリーと比べ、通行の方法が定められた環状交差点の方がさらに事故を防ぎやすく、メリットが大きいです。
- 環状交差点やロータリーにデメリットはありますか?
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ロータリーも環状交差点も速度が抑えられるという特性がありますが、交通量が多い時間帯は速度が遅いと渋滞が起きやすくなってしまいます。渋滞時には合流しにくいというのもデメリットです。
ロータリーと環状交差点の違いは道路を見ただけではわかりにくい
ロータリーと環状交差点はどちらも中央に環状(円形)の道路があり、見た目だけでは違いが分かりにくい形をしています。ロータリーか環状交差点かは、標識をしっかり確認しましょう。
ロータリーは場所により優先される道路が違う場合があるので、思い込みで進まず周囲に一時停止の標識や優先の指示がないか確認しましょう。また、周囲の車の流れを見て通行してください。
環状交差点は法令で定められた通行方法に従えばいいので、一度覚えてしまえばロータリーよりスムーズに通行できると思います。
- ロータリーは道路の形状のことで、環状交差点は道路交通法で通行方法が決まっている交差点
- ロータリーか環状交差点かの違いは標識を見ると確実
- ロータリーでは合流も退出もウインカーが必要だが、環状交差点では退出のみウインカーを出す
環状交差点は平成26年から運用され始めた比較的新しい通行方法の交差点です。そのため、通行方法を知らないという人も多いかもしれません。
ロータリーには定められた通行方法がなく標識などで通行方法を知らせているものが多いのですが、今後ロータリーが環状交差点へと整備される可能性もあるので、ロータリーとの違いや通行方法を覚えておきましょう。