- ガソリンを携行缶に給油してくれるお店が少なくなった?
- 携行缶に給油してくれるガソリンスタンドの見つけ方は?
- ガソリンを携行缶に給油するときに気を付けることはある?
ガソリンを悪用した事件が起こるたびにガソリン販売に対する規制が厳しくなり、だんだんと携行缶にガソリンを給油することが難しくなってきました。
携行缶へのガソリンの給油が法律で禁止されたわけではありませんが、販売するときには使用目的の確認や名簿の作成などの手間がかかるため、対応してくれるガソリンスタンドが減ってきたのです。
この記事では、携行缶に給油してくれるガソリンスタンドの見つけ方や携行缶でガソリンを購入するときの注意点について解説します。
ガソリンを携行缶に給油してくれる店舗は少なくなっている
ガソリンは犯罪に使われることもある危険物です。2020年の2月に施行された「危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令」で、ガソリンを携行缶に給油するときの細かい条件が定められました。
そのため、携行缶へのガソリンの給油に対応するスタッフの負担やトラブルの回避を理由に、携行缶へのガソリンの給油を取りやめる店舗が出てきてしまったのです。
大手チェーン店ならエネオスが有力
全国的に店舗がある大手チェーン店の中で、携行缶に給油してくれそうな最有力候補はエネオスです。
エネオスのホームページにはガソリンを保存する携行缶についての表記があるため、規定通りの携行缶を持参し手続きを行えば給油してくれると考えられます。
また、ENEOS木内油業株式会社、ENEOSジェイクエストなどのホームページでも携行缶の給油について説明しているため、携行缶への給油に対応してもらえる店舗が多い可能性が高いです。
店舗の大きさやスタッフの人数に違いがあるため、ENEOSなら絶対に携行缶にガソリンを給油してもらえるというわけではありませんが、携行缶に給油してもらえるガソリンスタンドで悩んだときには期待できるチェーン店です。
シェルや出光はセルフサービスが増えて給油できない店舗が多くなった
昭和シェル石油は出光興産と経営統合し、「apollostation」への切り替えが行われているので、この2つの店舗の対応はほぼ同じです。
シェルのホームページには「セルフのサービスステーションでお客様がガソリンを容器に注油することは、消防法に基ずく規制および通達により禁止されています。」という説明があります。
携行缶への給油については、フルサービスのサービスステーションをご利用くださいという呼びかけがあるため、フルサービスのガソリンスタンドなら対応してくれる店舗が多いでしょう。
ただし、シェルや出光では合併に伴う人員削減もあり、フルサービスの店舗自体が減ってきてしまっています。
深夜時間帯はスタッフの人数を減らしているため対応できないという店舗も多いので、フルサービスの店舗でも対応可能な時間帯を事前に確認しておきましょう。
農機具や除雪機を持つ家が多い郊外の店舗
ガソリンは自動車やバイクだけでなく、除雪機や農機具に使われることがあります。そのため、農家が多い地域や雪国では携行缶への給油に対応してくれるガソリンスタンドが残っています。
ただし、他県ナンバーでガソリンを買いに行くと警戒されることもあるので、あまり遠方ではなく県内で探した方がいいかと思います。
セルフガソリンスタンドでは携行缶への給油は断られることが多い
ガソリンに対する規制がゆるかった時代は、セルフスタンドでも携行缶にガソリンの給油を行ってくれたのですが、法令の改正でスタッフの手間が増えたことで、対応してくれないお店が増えてしまいました。
携行缶へのガソリンの給油自体は、危険物取扱者の資格を持つ人の立ち合いがあれば、他の従業員が行ってもいいことになっているので、負担はないのではと感じる人がいるかもしれません。
しかし、セルフスタンドではガソリンを給油するときの様子をカメラで見て、危険がないと確認して装置からガソリンを出す操作を行っています。
必要最低限のスタッフで営業しているガソリンスタンドでは、携行缶に従業員が給油している最中にトラブルが発生すると対応できる人がいなくなってしまうので、携行缶への給油を断っている状態です。
携行缶にガソリンを給油するときには量や手続きが定められている
ガソリンを携行缶に給油する場合は、ガソリンスタンドの従業員が給油するというだけでなく、販売方法や量にも法律の規定があります。
本人確認と使用目的の確認が必要
ガソリンを携行缶に給油してもらうときは本人確認と使用目的の確認が必要になり、ガソリンスタンド側では販売記録の作成が義務付けられています。
本人確認や使用目的の確認は購入のたびに行うので、面倒だと感じるかもしれませんが、店舗側の負担を増やさないように協力しましょう。
本人確認は運転免許証など顔写真がついた身分証明書の提示を求められることが多いです。
また、支払い方法も本人確認の意味を込めて現金ではなくクレジットカードのみという店舗も多くなっています。
届け出していない場合は40リットル未満しか保管できない
携行缶に給油できるガソリンは何リットルでも購入できるわけではありません。一般的には40リットル未満(39.9リットル)になります。
40リットル以上のガソリンを保管するためには保管場所の壁や天井が不燃物であることや、窓と出入り口に防火設備があることなどの基準を満たし、消防署に届け出る必要があります。
ガソリンスタンド側で消防署への届け出の状況を確認するのは現実的ではありませんし、保管せずにすぐに使うと言われても判断に困りますよね。
そのため、ガソリンスタンドでは40リットル未満の販売しかしないという流れになっています。
また、販売店側にも1日に携行缶に給油して販売できるガソリンの上限が200リットルと定められているので、1人に対して大量にガソリンを販売するのはリスクが大きいのです。
ガソリンは長期間保存していると劣化するため、品質管理の点からも大量に購入することはおすすめできません。
ガソリンが腐るとどうなるかについては別記事で紹介しておりますので、そちらもあわせてご覧いただければと思います。
ガソリンを給油するための携行缶は安全基準を満たしたものを使う
ガソリンスタンドでは消防機関から、携行缶に給油する場合は安全基準を満たしているか確認するよう指導されています。
国内の試験基準に合格したことを示す「KHKマーク」か国連勧告の規格に合格したことを示す「UNマーク」が添付されたものが推奨されているので、携行缶を選ぶときは安全基準を満たしていることを確認しましょう。
自動車でガソリンをいれた携行缶を運搬する場合は、最大容量が22リットル以下の金属製の容器という規定もあるので、容量が大きな携行缶を買っても自分の車では運べないということになります。
ガソリンの携行缶には安全基準を満たした22リットル以下の金属容器を利用してください。
ガソリンの携行缶への給油に関するQ&A
- フルサービスのガソリンスタンドに行けば、ポリタンクにも給油してもらえますか?
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ガソリンは灯油用のポリタンクには給油できません。
外国製のガソリン対応ポリタンクは10リットルまでなら日本で使用できるという情報を見かけますが、ガソリンスタンドでは給油してもらえない可能性が高いです。
消防法では10リットルのポリタンクへの「詰め替え」は可能になっていますが「運搬」は許可されていません。
そのため、自宅に持ち帰った後でポリタンクへ入れ替えるのはOKですが、ポリタンクに入れたガソリンを車で「運搬」することはできないのです。
消防法の改正により2024年3月1日から下記の条件を満たすプラスチック容器が運搬用として認められることになっています。
- 容器に「UNマーク」および「3H1」の容器記号がある
- 容量が10リットル以内である
- 製造日から5年以内である
- セルフスタンドなら携行缶に自分で勝手にガソリンを給油できますか?
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セルフのガソリンスタンドでも、スタッフに見つからないように自分で給油することはできません。
セルフスタンドではカメラで来店者の行動をチェックし、問題がない場合のみ給油装置を給油できる状態に操作しています。
そのため、スタッフに隠れてこっそりガソリンを携行缶に入れることは不可能です。
ガソリンを携行缶に給油したいときは事前に問い合わせるのが確実
ガソリンの携行缶への給油は規制が厳しくなり、気軽に買えない状況になってしまいました。
フルサービスのガソリンスタンドは対応してくれる店舗がありますが、混んでいる時間帯やスタッフが少なくなる時間帯には携行缶へのガソリンの給油を断られることもあります。
せっかくガソリンスタンドに足を運んだのに対応してもらえなかったということがないように、事前に電話などで確認してから来店するようにしましょう。
- 消防法の改正で販売時の手間が増え対応できる店舗が減ってきている
- フルサービスのガソリンスタンドなら対応してくれる可能性が高い
- ガソリンは安全基準を満たした金属製の携行缶で22リットル未満のものを使う
ガソリンの携行缶への給油は法律で禁止されたわけではありませんが、お店側が絶対に対応しなければならないというものでもありません。
今後もガソリンを取り巻く状況によっては店舗側で自粛する可能性もあります。ガソリンを携行缶で購入する機会が多い場合には何店舗か購入可能なお店を押さえておいた方がいいかと思います。