- 事故を起こした加害者から警察を呼ばないと言われたんだけど、なにかメリットがあるの?
- 小さくても事故を起こしたら必ず警察を呼ばなきゃいけないんだよね…
- もし警察を呼ばなかったらなにか違反になる?
軽い接触でも事故を起こしてしまったときには警察を呼ばなければいけないのに、相手に示談を強要され警察を呼ばなかった・・・。
本当に示談で済ませてしまってよかったのか、警察を呼ばなくてもよかったのか。
なにもわからないと、不安になると思います。
事故を起こしたときに示談で済ませようとする人の理由や、なぜ軽い事故でも警察を呼ばなければならないのか。
万が一事故に遭ってしまった場合、自分が損をしないために警察を呼ぶ理由とメリットを説明します。
たとえどれだけ軽い接触事故でも、警察を呼ばない場合は報告義務を怠ったとして違反となり罰則を受けます。
加害者側だけではなく両者ともに報告義務が発生しますので、加害者側に押し負けて警察を呼ばなかった場合被害者側も報告義務を怠ったということで罰則を受けてしまいます。
少しずつクルマに関して詳しくなってきたクルマ屋社員と、事故後に損をしないために警察を呼ぶメリットを改めて確認しましょう!
事故を起こしたらすぐに警察へ!呼ばないメリット・デメリットは?
狭い道を走っていたら対向車とすれ違うときにミラーを軽くあてられてしまい、事故だから警察を呼ばないと!と思ったら、あててきた加害者側からこれくらいなら警察は呼ばないと言われてしまった!
事故を起こしたときに警察を呼ばない人はいないと思いますが、まれに拒否をする人がいます。
軽い事故だからと警察を呼ぶことをためらうのは、加害者側になにかメリットがあるからなのでしょうか。
事故を起こした場合は、どれだけ軽度なものでも警察を呼ぶ義務が発生します。
なぜ呼ばなければならないのか、説明します。
なぜ事故を起こしたら警察を呼ばなければならないのか
交通事故を起こした場合、警察を呼ぶ義務が発生します。
これは道路交通法第72条でも定められていて、人を巻き込んだ事故はもちろん、ミラーをお互いに軽くこすっただけの軽度なものから相手のいない自損事故でも呼ばなければなりません。
道路交通法第72条ではこのように記載されています。
第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105(道路交通法 – e-Gov法令検索 より引用)
事故を起こした場合は警察への報告義務が発生します。
報告義務は文字通り、自分が事故を起こした場合警察へ事故の報告をしなければならない義務です。
加害者側が警察を呼ぶことをためらう理由
事故の報告義務があるにも関わらず報告することを拒む人にはいったいどんな理由があるのでしょうか。
加害者側が警察を呼ぶことをためらう理由は、主に以下の理由が挙げられています。
- 保険の等級を下げたくない
- 免許取り消しになってしまう可能性があるので回避したい
- 事故を起こしたと周りに知られたくない
- 面倒ごとになる前に解決したい
それぞれ説明していきます。
保険の等級を下げたくない
事故を起こした場合、修理や相手への支払いで保険を使用します。
保険を使用すると基本的には等級が下がり、等級が下がったことで保険料が高くなったり割引率が低くなったりします。
そのため、保険の等級を下げたくないと警察を呼ばない人もいます。
免許取り消しになってしまう可能性があるので回避したい
接触事故を起こした場合、免許の点数状況によっては免許の取り消しや免許停止の措置がとられてしまう可能性があります。
軽い事故であれば警察を呼ばないことで免許の点数への影響もありません。
「免許がなくなったら生活していけない」などと同情を誘って示談に持ち込む人もいる場合がありますが、流されずに警察を呼びましょう。
事故を起こしたと周りに知られたくない
相手がどこかの企業の人だったりすると、会社での評判や周囲の人に事故を起こしたことを知られたくないなどの理由から警察を呼ぶことを拒む人もいます。
ですが、隠していつか事故がバレてしまったときより、事故を起こした直後にしっかり義務を守って警察を呼んだ方が周りへの印象もよいです。
面倒ごとになる前に解決したい
事故を起こした直後は元気でも、日が経つと身体の痛みが出てきたりします。
示談で済ませてしまっていると、後日病院に行ったときの治療費などが支払われない場合がほとんど。
そうならないためにも、警察はしっかり呼びましょう。
このように加害者側にとって不利なことが多く起きてしまうため、軽度な接触事故の場合は警察を呼ぶことを拒否する人が多いです。
ですが、不利な状況になりたくないからと報告義務を怠ると、もっと重たい罰則を受けることになります。
被害者側のデメリットは
ここまで加害者側が警察を呼ぶことを拒む理由をお伝えしましたが、ここからは被害者側のデメリットを挙げていきます。
- 交通事故証明書が作成できない
- 保険会社が損害賠償の請求に応じてくれない
- 被害者側も刑事処分を受ける
示談で済ませてしまうと、被害者側にはこのようなデメリットがあります。
それぞれ詳しく説明していきます。
交通事故証明書が作成できない
接触事故を起こした際、保険金請求などに利用する交通事故証明書を作成することができません。
警察を呼ぶと作成することができる書類は【交通事故証明書】と【実況見分調書】の2種類があります。
交通事故証明書 | 自動車安全運転センターが発行する書類 | 所持していないと保険金の請求が難しくなる |
実況見分調書 | 事故現場に立ち会った警察官が作成する書類 | 主に人身事故の場合にのみ作成される書類 事故の調査中は入手することができない 対物の場合は【物損事故報告書】となる |
示談で済ませてしまうと上記の書類を作成することができず、後々不利な状況になります。
保険会社が損害賠償の請求に応じてくれない
夜に軽い接触事故を起こし、ぱっと見へこみや傷もないし大丈夫!と示談で済ませてしまい、翌日明るいところでよく見たらへこみが…。
示談で済ませてしまった後に保険会社に電話をしても、ルール違反で支払いを拒まれるケースがほとんど。
事故を起こしたときに警察へ連絡をするのはもちろんですが、合わせて保険会社への連絡も必要です。
警察を呼び交通事故証明書を作成、それを元に保険会社が適切な損害賠償額を算出します。
また、示談で済ませてしまうと事故を起こした証拠がないため、加害者側に「言いがかりだ」と逃げられてしまい、結果的に損害賠償を受け取ることができないことがあります。
被害者側も刑事処分を受ける
事故を起こしたときに警察を呼ばなかった場合、加害者側に全責任があると思いがちですが、被害者側も刑事処分を受ける可能性があります。
報告義務を怠ると3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金となります。
以上が警察を呼ばなかった場合の被害者側のデメリットでした。
事故発生直後は気付かない傷や身体の不調が後々現れることもあります。
そういった場合に自分に不利にならないためにも、警察は必ず呼びましょう。
警察を呼ばなかった場合の加害者側の罰則は?
警察を呼ばなかった場合、道路交通法第72条に違反し、5年以下の懲役または50万以下の罰金を命じられる可能性があります。
軽いからいいや!といった気持ちでいると、保険の等級が下がるよりももっと重たい罰則を受けることになってしまいます。
自分だけではなく、周りの人にも家族にもたくさんの迷惑になりますので、報告義務を怠ることなくしっかりと警察へ連絡をしましょう。
事故を起こして警察を呼ばないのは違反で罰則を受ける
軽い事故から重い事故、自分だけが起こした物損事故まで、事故を起こした場合はすべて警察を呼ぶ義務が発生します。
その義務を怠った場合は罰則を受けることになり、加害者側も被害者側もデメリットにしかなりません。
事故を起こさないことが一番なのはもちろんのことですが、いつどんな状況で事故に遭ってしまうかは誰もわかりません。
事故を起こさないためにも日ごろから安全運転と周りへの気遣いを忘れず、自分だけではなく周りにいる誰もが嫌な思いをしないようになるとよいですね。
- 事故を起こしたら軽くても必ず警察を呼ぶ
- 示談で済ませたいと言われてもかんたんに応じない
- 日ごろから安全運転を心がける
以上、事故が起きたときに警察を呼ばないとどうなってしまうのかを解説しました。
ミラーを軽くあてただけだし傷もついていないからいいやと思ってしまうことはあるかと思います。
ですが、面倒くさいからと呼ばなかった結果重たい罰則を受けることになってしまいます。
事故を起こしたら警察、その意識を常に持ちながら運転を心がけましょう。